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時宗 東福山 西光寺
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Saikouji Blog

和尚のひとりごと “私が書きあげた…第十八回 遠州大名行列 物語のシナリオはこれです”

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いつからブログも書いていないだろうか。

久しぶりにもどってまいりました。

いつものことなのですが、

書こうと思いたってキーボードに指を走らせる、

気がつけば十数行の文章を書きあげている、

そんな気持ちが生まれてこないとブログも休んでいるのです。

と言っても、

直前にせまった大きなイベント、

『第十八回 磐田大祭り』

…遠州大名行列の指導に時間を費やしているここのところですから、

ブログに集中せず

離れていても致し方ありません…私的にはですが。

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今年を最後に,

やりきろうと気持ちをそそいでいる今日この頃、

私が担当する資料作りのほうにキーボードも音をたてております。

いよいよ秒読み、

今回も百二十名を越えるみなさまに出演していただくことが叶い、

大名行列所作指導・演技総監督、

そして出演者の方々に演じていただきます時代劇の物語、

シナリオ、

台詞を書き上げた私としては安堵しております。

もう、

何回…物語を作りあげてきたことだろう。

つぎの野望に向かって動きだしたいから今年を節目に離れようと。

私を支えてくれている周りのスタッフさんたちにも伝え、

できるだけ

後継者を育てあげる今回でありたいと。

それでも、

シナリオを書きあげるひらめきは大変なものです。

その年その年でテーマを伝えられ、

私の頭のなかでおおまかなイメージをふくらませ、

時代背景、史実と重ねた部分も加えながら、

それに沿った物語と登場人物を作りあげる、

史実ではないけど、

実際に

こんな出来事があったかもしれないと思っていただける

ワクワク感と面白さを文字で築きあげていく、

けっこう

感性と遊び心がないと生まれてこないものなのです。

4月28日土曜日当日は、

大名行列のサポートスタッフを兼ねた黒子として共に歩きます。

あと数日、

最後の指導が前日の金曜日。

もう少しで燃え尽きてしまいますが、

完成させた物語が、

無事に演じられることを願うばかりです。

さて、

昨日、ご縁がありますKBS京都さんの看板番組、

“笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ”制作の方より再び、

電話での番組出演依頼がまいりました。

地元磐田市の情報をということで

KBS京都さんも前もって調べておられて、

磐田大祭りのことをご存じでした。

私がその大名行列指導・演技の総監督とお伝えしましたら、

驚かれて、

ぜひその情報をラジオでとお願いされ、

快く受けさせていただきました。

放送日は、今週27日の金曜日、

午前九時頃の予定です…もちろん生放送です。

遠州大名行列もこれで最後と決めた今回のボランティア、

その時にこんなお話しをいただけるなんて、

とっても良縁を感じております。

もう、

今年のシナリオ、物語の内容、

情報も公になってまいりましたので、

私がつくりあげた、

今回の物語の背景と登場人物を

ここに載せておくことにいたします。

この物語背景から、

ここには載せておりませんが、

当日演じていただきます時代劇の登場人物…

十数名の台詞を完成させました…和尚のひとりごとでした。

 

万葉集に…詠う…

相坂(あふさか)を

うち出でて見れば

淡海(あふみ)の海

白木綿花(しらゆふはな)に

波立ち渡る(現在の滋賀県大津市)

 

大の浦の

その長浜に寄する波寛けく君を思ふこの頃

(現在の静岡県磐田市)

 

…登場人物

近江 膳所藩六万石 近江守 高柳裕久(おうみのかみ たかやなぎひろひさ)公

背 景 藩政の改革にとり組む名君で、とくに窮民に対する施策で有名。

人物像 幼少時より比叡の僧侶を師として育つ。

そのなか師と学んだ和歌の世界に心を惹かれ、

とくに万葉に詠まれた歌の情景を思い浮かべることを楽しみとしていた。

万葉の歌を学ぶ姿勢は、

藩侯となったいまも変わることなく、

和歌に通じた文化人としての一面を兼ねそなえ、

家臣も知るところであった。

そして、参勤交代の折、

万葉の歌に詠まれた舞台を訪ねる…

そんな万葉の旅を楽しみにしているらしい。

そして今回の参勤交代、

大名行列を整え向かうは江戸。

途中、

万葉集の詠まれた名勝地のひとつ、

大乃浦を眺めてみたいと期待に胸をふくらませておられるようだ。

 

和泉屋 亭主 三代目与平(いずみや さんだいめよへい)

背 景 見付宿で和泉屋を構え、すっぽん料理を代々受け継ぐ三代目料理人。

人物像 祖父である初代与平は、

若いとき西国の故郷を離れ、

江戸で料理屋の板前見習から腕を上げる。

修行の店が川魚料理を得意としていたため、

そこですっぽんのもつ身体への栄養と効果を学び、

調理方法も会得したと思われる。

江戸での修行を終えるころ、

故郷で小さな料理屋を構えたいと考え亭主より暇をもらう。

一路東海道を西へ向かう途中、

見付宿の南一帯に広がる

“いまのうら”と呼ばれていた大きなため池に

たくさんのすっぽんが生息し、

宿無しが思いついたすっぽん料理屋が安くて美味いと、

東海道を行き来する旅人の間で

評判になりはじめていることを知る。

そしてこれは商売になると思い、

故郷へは帰らず見付宿で小料理屋をはじめたらしい…

と亡くなった二代目の父親から聞かされている。

たしかに、

見付宿の名物になったすっぽん料理のはじまりは、

見付宿を寝床にしていた宿無しによって、

安く美味いすっぽん料理がはじめられたと、

平成の時代まで語り継がれている。

屋号から察して…

和泉…いまの岸和田市が初代の出身であろうか。

今般、

見付宿本陣逗留のお殿さまに

街道一のすっぽん料理を振る舞うよう、

本陣亭主より依頼されるようだ。

 

東海道名所記に…

『町の中にそうしゃ大明神、右の方にあり、

町はづれ左の方に、いまのうらというため池あり』

『見付名物 一にすっぽん二に大乃浦 味と安さは街道一』

戦に次ぐ戦、

そんな戦国の時代が終わって、時は江戸時代。

長く太平の世の中がすすんでおります。

穏やかな時代だからでしょうか、

お殿さまも戦の支度の時間より、

自らの教養を高める時間が多くなってまいりました。

そんなお殿さまのおひとりが、

霊峰比叡の山を背景にして、

風光明媚な琵琶湖のさざ波打ち寄せる浜辺にあります

膳所城におられました。

この膳所のお城は、

東照大権現徳川家康公によって

慶長六年に築城された歴史ある水城、

日本三大湖上のひとつに数えられました。

江戸時代、

徳川幕府が諸大名に号令し築いたお城の第一号、

城作りの名手でありました藤堂高虎が計画の任にあたり、

琵琶湖の水面に映えるその姿は

とても美しいものでした。

現在の城主であります高柳家は、

三河国西尾藩より入城、

歴史をふりかえりますと十三代…二百二十年、

明治維新までつづいていく名家でありました。

さて…

その歴史に名を残しておられます

藩主のお一人が高柳近江守裕久公その人であり、

窮民に対する

福祉政策など諸改革で藩政を安定させた名君でした。

また藩侯は、

文化芸能に通じた文化人としても有名で、

これは、

その育まれたお城が自然豊かな環境につつまれていたと

いうこともありましたが、

将来の藩侯の嗜みのひとつとして、

幼少の頃より、

その師である比叡の僧侶が教える教養の時間、

とくに和歌の世界観に興味を抱き、

その歌に表された情景を思い浮かべるのが、

お城の中での楽しみであったと言われております。

そのような環境下、

戦より太平の世の中、

文化芸能に興味を持つのは自然の理。

その中でも秀でていたのがやはり和歌の探求でありました。

とくに万葉の時代に詠まれた歌は、

おおいに興味を抱き、

その詠まれた国を実際に訪ねるのが藩侯としての楽しみ、

参勤交代をはじめ、

大名行列を整え旅する途中途中の各地において、

和歌が詠まれた

万葉の里でのひとときを

楽しみにされるほどの文化人であったのです。

さて、

此度の旅は、

江戸への参勤交代。

西国から東国へとお供の家来をともない

東海道を進んでまいります。

もちろん、

家臣たちも

お殿さまの楽しみを知らないわけではありません。

『万葉集に詠まれた景色はないか?』

と道中奉行は、

今回もお殿さまのために

大名行列の支度を進めたのでございます…

そして、

今回えらばれた宿場が見付でございました。

ひとあし先を進む先触れ役は、

信濃より遠江へと流れます天竜川の渡しを過ぎ、

見付宿の宿役人たちとご本陣のあらため、

そして

なにやら相談をしているようでございます。

翌日、

高柳のお殿さまの行列は、

尾張を抜けて東海道を三河国へ、

そして

天竜川を無事に渡り終えますと、

遠江池田にございます

熊野御前ゆかりの行興寺にてご休憩、

今が盛りの熊野の長藤を愛でながら、

和尚より

献上されました磐田茶を所望の様子でございます…。

さてさて

万葉集に詠まれた名勝地大乃浦の今は…

東海道名所記に書かれた

『いまのうらというため池あり』

なのでしょうか。

藩侯と見付の名物の物語、

乞うご期待でございまする。

 

作 光阿弥(西光寺住職僧侶名)

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