西光寺
時宗 東福山 西光寺
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Saikouji Blog

和尚のひとりごと “夏が来れば思いだす…冒険心…豊かな私を”

夏が来れば思いだす、

遙かな湖国、

さやかな波音。

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額に汗を輝かせて

走りまわったお寺の境内。

三角ベースは、

得意中の得意。

右に左に、

そして

本堂の甍を越えていく

ホームランボールを屋根までのぼり

さがした少年の私。

燃えるような陽射しに

背中をおされて飛びこんだ琵琶湖。

熱せられた浜辺の砂を駆けて、

波打ちぎわへと目指したあの日。

水中眼鏡をつけた私は、

遠浅の水に浮かんでは潜りこんで、

水中の世界とひとつになって

季節に遊んだ思い出。

たくさんとった

シジミの袋が自然からのご褒美だった。

自転車では、

琵琶湖一周。

小学生の私は、

友といっしょに冒険に出た。

一泊二日のテントの旅。

親には、

『自転車で琵琶湖を一周してくる』

と一言残して

自転車をこぎはじめた。

自由気ままな小学生の旅は、

何処の浜辺であろうと

迎えいれてくれた大きな湖。

砂のうえに

テントを張って泊まった夜の世界は、

忘れることのない星空のひろがる雄大さ。

いま思えば、

なんて大胆さの少年時代。

でも、

二度ともどらないあの日の時間。

計算じみた

大人の考えなんか思いもつかない日々。

夜、

お寺の本堂に泊まって

夜を明かしたこともあった。

友だちと朝方まで遊んでいた深夜。

おなかが空いたと、

近くにあった

自動販売機までインスタントうどんの買い出しに。

きっと、

時計は、

深夜を示していただろう。

あるときは、

丑三つ時、

自転車に乗り

山手の奥にある墓地まででかけて、

幽霊をさがそうとみんなで過ごした、

外灯の無い

懐中電灯だけがたよりの暗闇の世界。

結局、

会えなかったと帰ってきた空は、

もう明るくなりはじめていた。

夏休みは、

少年の心を開放して、

怖い物知らず。

よくもまあ、

そんな無茶をやってきたものだ。

いまでは、

開発されて消えてしまった風景。

少年時代の出来事が大人への道を導いて、

気がついたらもう人生も後半。

文明も技術も進んで、

何不自由なく暮らせるいまだけど、

たったひとつ、

いまの私に足りないものがあるとしたなら、

少年時代の“無茶”だろうか。

『もういい大人なんだから』

という言葉に隠れている、

帰りたい…

あの日の私が足りないんだな。

Stand by Meの世界…

ただ楽しい冒険心豊かな私のうしろ姿と、

許された自由さだけが…和尚のひとりごとでした。

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