西光寺
時宗 東福山 西光寺
時宗 東福山 西光寺

Saikouji Blog

和尚のひとりごと “今日も生きております…ご安心を”

今日は、

いいお天気になりました。

昨日、

潤いに染めた秋の雨も遠のき、

朝から青空が広がっております。

薄い雲たちは、

自由に形を変えて、

友だちの風に行き先を伝えて

旅をつづけているようです。

芒の穂も揺れては、

やさしく、

なんとも言えない

この季節を描きながら佇んでいる

穏やかな時間です。

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私が過ごしております

スターバックスコーヒーの店内も、

ゆったりとしたお客さまの声で、

笑顔の風景を感じることができます。

さて、

ここのところ報道されております

東京都足立区のお寺で、

ご住職が殺害されるという痛ましい事件が起こりました。

加害者は、

石材店の経営者とその役員とされております。

被害者であります

ご住職と加害者であります石材店経営者とは、

境内にて霊園を計画し、

互いに協力されてきた関係と思われます。

実際、

映像を見ておりますと、

地上に見えている霊園ももちろんのこと、

古墳の形をしました

地下室付き納骨堂もたいへんご立派な霊園で、

かなり綿密な話し合いを進めながら

完成させたと言うことが伝わってまいります。

たとえば、

お寺の境内であっても

新たな墓地を造成する場合は、

自由にできるわけではなく、

まずは、

その地目が墓地でなければなりません。

既存の墓地からは、

離れているようですので、

境内地から墓地へと

利用の地目を変更許可のうえ、

霊園工事にかかられたと推測いたします。

ただ、

故人のご遺骨を

あずかるだけの墳墓方の納骨堂であるなら、

まだ、

許可が必要な地目等の変更等を思えば、

納骨堂建築という名目で計画する方が、

いろいろ手続きが簡略されると思います。

もしかしたなら、

後者だったかもしれませんし、

墓地と納骨堂の両方をそなえられた

霊園だったのかもしれません。

ただ、

どちらにいたしましても

完成後の運営に関する取り決めを

しっかり計画段階で契約書に記し、

完成後は…

宗派は、

ともかくとして、

宗教を問わない霊園においては、

神道であろうが、

カトリックであろうが、

無宗教であろうが、

販売の相手先として話しを進め、

購入していただくという方針で

広く地域に告知されていたと思いますので、

その方針の変更を

ご住職側が提案されたとしましたなら、

契約上は、

違反となり、

工事と販売を委託されました

業者側からしますと困ったこととなります。

それとも、

契約書自体がなかったのか…

その両者承諾の条項がなかったのか…。

取材記事によりますと、

当初は、

宗派や宗教を

問わないという霊園でスタートされたのが、

仏式のご葬儀と戒名を条件に受けいれるという、

仏教徒に限る霊園に

方向転換されたのが殺害された理由だと。

きっと、

まとまらない話し合いのなか、

販売も行き詰まり、

予定していた

区画の大多数が売れ残っている現実に、

業者側も追いこまれたのではないでしょうか。

このような霊園を計画する場合、

寺院としては、

敷地の提供のみで、

あとは、

業者側が工事費も請け負い、

販売費のなかから寺院への取り分と

工事費の負担を捻出し、

そして、

工事費完済後は、

寺院へお渡しする

墓地販売費の一部を除いた

残り分が業者側の儲けになっていく…

という契約が多いのではと思います。

もしも、

霊園工事も寺院がすべて負担して

計画されたなら、

その販売目的や販売条件など自由にできますからね。

そして、

墓石店との契約があったとしましても

指定石材店ということで、

販売が仏教徒限定であろうが、

依頼があれば

墓地を建立するという本来のお仕事だけで、

その霊園の売り上げには関わりも、

一切ないわけですから、

そう推察いたしますとなにかしら…

当初から業者側も

完売しないと困るような

霊園建設の経営に

関わってこられたのではないかと考えられます。

今回の事件で思いますのは、

やっぱり、

寺院と関わりをつくることを条件とされた

永遠に眠る場所より、

残されていく身内に、

そんな負担も

残したくはないところを選びたいという、

いまを生きる

現代人の考え方を再認識させていただいた

出来事でありました。

私もある知り合いの女性から

『和尚さまも気をつけて』

と心配の言葉をいただきましたよ。

ちょうど、

業者さまと進めております

樹木葬の準備と、

近づいてまいりました販売にかさなりましたからね。

ご住職のご冥福を

心よりお祈り申しあげます…合掌。

私は、

今日も生きております、ご安心下さいませ…和尚のひとりごとでした。

コメント

  • みよこ
    2023年10月10日 9:29 PM

    難しい問題ですね

  • saikouji
    2023年10月10日 10:07 PM

    みよこさん、
    ほんとこれも時代が抱える課題ですね。

    和尚